地盤改良とは?地盤改良工法や工事に掛かる費用相場などをご紹介

地盤改良

家を建てる為の打ち合わせで”地盤改良”という言葉を初めて聞く人は多いのではないでしょうか。
普段は馴染みのない言葉なので、地盤改良についてはイメージさえ掴めないかもしれません。

「そもそも地盤改良って何をするの?」
「地盤改良をすると良い事があるの?」
「本当に必要なもの?」
など、分からないままだと不安な気持ちになる方も多いかと思います。

この記事では、そんな気持ちを少しでも解消出来る様に、地盤改良の基礎的知識についてお伝えしていきます。

 

 

地盤改良とは?

まずは、地盤改良工事の必要性について考えてみましょう。

 

どうして地盤改良が必要?

家を新築する時に欠かせないのが土地選び。

「会社まで近くて快適」「スーパーが近所に多いから便利」など、利便性を求めて探す人も多いでしょう。
無事に土地選びが終わると「いよいよ建築できる」と気持ちが急ぐかもしれませんね。
ただ、家を建てても土地が弱ければ、それを支え切れずに建物側に何らかの影響をきたすケースがあります。

「ウチの建築方法なら耐震性がバッチリです」とハウスメーカーが自信を持って建てた最新式の家でも、地盤が弱いまま建築すると、いずれ建物の傾きが起こります。
家が傾いたからと言って建物が倒壊するわけではありませんが、僅かな傾きであっても
「ドアが閉まりにくい」
「床がきしむ」
「斜めになっている気がする」
など、住まいの耐久性や住んでいる人の精神状況にまで影響を及ぼすかもしれません。

それらの心配をせずに済むよう、家の重みをしっかりと受け止められる地盤に改良するのが「地盤改良工事」です。

 

地盤改良するとどんなメリットがある?

地盤改良工事によって回避できるのが”家の揺れ”や”不同沈下”です。

 

・家の揺れが起こりにくくなる

家が揺れると聞くと主に地震をイメージするかもしれません。
それ以外にも、家の前の道路を大型車が通った時に揺れを感じるというケースもよくあります。
家が揺れる原因として挙げられるのが地盤が弱いということ。
地盤改良で安定した土壌にすれば、家が揺れにくくなるでしょう。

 

・不同沈下が起こりにくくなる

家の土台となる地盤は、「土」「石」「空気」「水分」等で構成されています。
それらは全て均等に構成されている訳ではなく、「水が多くて柔らかい」「空気が多くてスカスカしている」など部分的に地面が下がりやすくなっていることがあります。
家の重みを受け止められない軟弱部分があると少しずつ沈みますが、それが不同沈下(地盤が沈む)という現象です。
地盤改良で土地の状態を良質にできれば不同沈下が起こりにくくなります。

 

・液状化を防げる

海や川が近いエリアの土地は、水分が多い傾向にあります。
昔は田んぼだった場所も水分が多く含まれている土地です。
水分が多い軟弱な地盤は、地震で揺れると地中の構成物が分離し、水が浮き出やすくなります。
これが液状化現象です。

緩く弱い地盤は少しずつ軟化する為、地盤改良を行うことでこうした現象を抑える効果があります。

 

建て替え時の地盤改良は?

家の新築と言っても、宅地に造成された土地に新築するケースと古い家を取り壊して建て替えするケースの2パターンがあります。

後者のケースでは、一度建物が建っていることから、地盤の丈夫さは実証済だと考える方も多いかと思います。
しかし、現在の住宅は地震に強い構造を意識して、昔と比べると家全体の荷重が重くなっている傾向にあります。
古い家にとっては大丈夫な地盤でも、現代の重い住宅を建てると土地が支えきれないケースもあります。

念の為、新しい家を支える強固な地盤かどうかをチェックし、それに合わせた地盤へと変える必要性はあるでしょう。

 

 

地盤調査ってどんなことをするの?

前記した地盤改良ですが、まずはその前に「地盤が弱いのか?」「この土地に建物を建てても大丈夫かどうか」という地盤調査を行うことが必要です。

 

資料や現地確認による調査

地形図や土地周辺の状況から、土地の地質を調査します。
昔の航空写真を見るとその土地がかつては田んぼや山だったか、などが分かります。
田んぼの場合は、水分が多く含まれている可能性がありますし、山の場合には切土や盛土で地盤が安定していない可能性が考えられます。

資料による昔の利用状態から、埋め立てられた土地かどうかも確認することができます。

 

機械を使った調査

地盤調査としてメジャーなのが「スウェーデン式サウンディング」と言われる方法です。
建物が建つ予定の部分の数カ所に、機械で荷重をかけて地盤の強さを測ります。

また、大きな機材を用いて深い部分まで地盤を調べられる「ボーリング調査」、直接地盤を調べられる「平板載荷試験」という調査方法もあります。
これらは精度が高く信頼性があるものの、調査の規模が大掛で費用的に高い調査方法です。

その為、多くの新築現場ではスウェーデン式サウンディングで地盤調査をするのが主流となっています。

 

 

地盤改良工事について

地盤改良工事にはいくつかの種類があり、大きく分けると次の3パターンです。
家の建築費用に加え、地盤改良工事が別途でかかると予算的に心配になることも多いかと思いますので、おおよその相場感についてまとめていきます。

 

柱状改良

地盤改良の工法の中で多いのが「柱状改良」です。
地盤内部に「柱」のような固い部分をいくつも作っていきます。
建物の下の地盤内部で柱が支えているイメージです。

・建物の床面積がどのくらいか
・何本のコンクリート柱を打ち込むか
・何mまで打ち込むか
という状況で費用がだいぶかわります。

20~30坪の住宅の場合、100~150万円程度が相場と考えておくといいでしょう。

 

表層改良

土地の表面部分、つまり地面から2m以内程度の浅い層を強化するのが「表層改良」です。

表面部分の土を掘り起こし、セメントを流し込み、掘った土を戻し混ぜ合わせます。
最終的に、重機で締め固め地面を均していきます。
地表の浅い部分だけで済むので工期が短くコストがあまりかかりません。

20~30坪の住宅の場合、55~100万円程度と考えておくといいでしょう。

 

小口径鋼管杭工法

50㎜くらいの小口の鋼管をたくさん地盤へ打ち込み、土地の強度をアップさせる工法です。

「土を掘る」「掘った土を戻す」という作業がないので、工期が少し短くなります。
柱状改良と同様、面積や打ち込む鋼管によって費用が変わってきます。

20~30坪の家の場合、70~200万円程度と考えておくといいでしょう。

 

 

地盤改良に掛かる費用や相場感についての補足

前記した相場感では費用のバラつきがあるので、気になった方も多いかもしれません。
費用の目安に幅があるのは、現場の状況によって工事内容が変わる為、現場の状況や依頼する業者によって費用は異なるからです。

表層改良の場合、「土を掘る・埋め戻す」と重機が入るので、道路状況によっては難しくなるケースも考えられます。
それに、掘った土はすべて埋め戻すわけでなく、余った土地を処分する場合は、その費用が掛かります。

また、柱状改良や鋼管杭工法においても土地状況によってコストの増減があるでしょう。
狭小地のように敷地が狭いと、工事関係車両を停める為、近くに駐車場を借りたりしなければならないことも。

工法としては同じでも、業者によって出される見積額が異なるのはよくあるケースです。
現場ごとに必要とされる工事内容が違うので、まずは見積もりを取って予算や工事内容について提示してもらうようにしましょう。

 

 

まとめ

いかがでしたか?
地盤改良についてのイメージが掴めたのではないでしょうか。

普段馴染みのない工事なだけに、「費用が心配」「そもそも必要なのか?」不安や疑問がたくさん出てくるかと思います。
今回紹介したようなおおまかな基礎知識を持っておけば、業者さんから見積書を提示されたときに慌てなくて済むでしょう。

また、地盤調査から地盤改良工事までプロにお任せする前に、ご自身でもハザードマップや過去の地形図などを利用して土地の状態をチェックしてみるのもお勧めです。

 

 

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