ドレーキップ窓について。メリットや取り付ける際に気をつけたいポイントなども。
日本ではあまり聞きなれない”ドレーキップ窓”。
窓枠を好きな色にしたり、格子を追加したり、
しかし、ドレーキップ窓はおしゃれなだけではありません。
その理由やドレーキップ窓のメリット・デメリット、
ドレーキップ窓とは
日本の住宅では、窓は横にスライドして開閉する引き違い窓が一般的ですが、気密性が低い為、寒さの厳しい北欧の住宅で引き違い窓を見かけることはほとんどありません。
北欧住宅でのスタンダードが「ドレーキップ窓(木製)」です。
ドレーキップ窓とは、1つのハンドルレバーで「内開き」と「内倒し」2つの開閉機能を持つサッシのこと。
その仕組みは、ハンドルを上にすれば窓は内倒しとなり通風・換気することができ、ハンドルを横にすれば大きく内側に開くので窓の清掃がしやすい状態になります。
ドレーキップ窓は、窓枠の全周囲に金物が巡らされている構造です。
ハンドルを下に向けると窓が閉まりますが、その時にグッと圧力がかかり、密閉される感覚があります。これは気密材がぎゅっと締まり、空気が漏れないように密閉されるからです。
すき間を作らずに窓を締め込む仕組みなので、気密性の高さを実感できるでしょう。
ドレーキップ窓が生まれた背景
ドレーキップ窓は、ドイツ語のドレーン(回す)とキッペン(傾ける)を合わせた言葉です。
1つの窓に2つの開閉機能を付けるという発想は、合理的な国ドイツならでは。
1940年代に開発され、ドイツの窓の9割はドレーキップ窓と言われています。
環境先進国といわれるドイツでは、省エネルギーに配慮した住宅を長年研究しています。
開口部である窓は、住宅の気密性と断熱性に大きく関わり、ガラスの防火性能や断熱性能とともにドレーキップ窓の構造も改善を重ね、発展してきました。
※北欧で作られているドレーキップ窓の金物のほとんどがドイツ製です。
ドレーキップ窓のメリット
ドレーキップ窓には、「内倒し」「内開き」「閉じる」の3つの機能があります。それぞれのメリットをご紹介します。
内倒しは常時換気に便利
引き違い窓は防犯面を考えると開けっ放しにすることはできません。
ドレーキップ窓は、内倒しにした時のすき間が10~15cmほどで人間が侵入することは難しく、安心して常時換気することができます。
ドレーキップ窓から侵入する為には、ハンドル周りのガラスを広範囲に破らなければならない為、狙われにくいと言われています。
室内側からしか外せないはめ込み式の網戸をプラスすると侵入に時間が掛かるので、更に防犯性が高まるでしょう。
また、ドレーキップ窓は雨の日でも内倒しの状態で換気することができます。
台風や強風を伴う雨でない限り、室内が濡れてしまうことはほとんどありません。
掃除やメンテナンスがしやすい内開き
窓の掃除は何かと大変。
1階ならまだしも、2階以上の窓清掃はバルコニーがない限り危険が伴います。
手が届く範囲に留めたり、便利グッズを駆使して試行錯誤したりする方も多いのではないでしょうか。
ドレーキップ窓なら内開きにするだけで、簡単に外側のガラス拭きをすることができる為、2階以上のお部屋の窓には特におすすめです。
また、窓のメンテナンスやリフォームをする際にも、ドレーキップ窓であれば内側から作業することができます。
足場も必要ないので、リフォーム費用(木製窓の塗装など)を抑えることができるでしょう。
足場組みを家全体に掛ける場合には10万円以上の費用が掛かりますから、大きな効果と言えます。
窓を閉じると高気密・高断熱
冷暖房効率を上げる為には、住宅が高気密・高断熱であることが必要です。
ドレーキップ窓は閉める時に密閉されるので、冷暖房で冷やした空気や暖めた空気を逃がしません。
また、高気密・高断熱の住宅は遮音性も高いので、騒音のリスクも減らすことができるでしょう。
ドレーキップ窓のデメリット
ドレーキップ窓のデメリットは価格面です。デザインにこだわる場合は海外からの輸入となるケースもあるので、費用が高額になってしまうこともあるでしょう。
※北欧で作られる木製ドレーキップ窓には輸入費用が掛かりますが、国産の木製ドレーキップ窓は元々の値段が高い為、日本国内での購入価格ではあまり差はありません。
その他にドレーキップ窓を取り付ける際の注意点をご紹介します。
家具の配置に注意
ドレーキップ窓は、内倒し・内開き共に室内側に窓が開きます。
その際の動線を考えると、家具の配置が制限される場合があるので注意が必要です。
引き違い窓の場合は本棚やソファーで多少窓を塞いでも開閉することができますが、ドレーキップ窓の前に家具があると内開きにすることができません。
網戸の種類が少ない
日本の夏には網戸が欠かせませんが、輸入サッシの場合は網戸がなかったり、種類が少なかったりします。
また、引き違い窓であれば片側にしか網戸は付きませんが、ドレーキップ窓は全ての開口部に付けることになるので、眺望が常に網戸越しになります。(冬場などの虫がいない時期は、網戸を外して保管も可能)
窓からの眺めを重視する人は、ドレーキップ窓とFIX窓(はめ殺し窓)を組み合わせるのがおすすめ。
開閉しないFIX窓には網戸を付ける必要がないので、クリアな眺望を楽しむことができます。
デメリット以上にメリットを実感
ドレーキップ窓のデメリットと注意点としては、価格・家具の配置・網戸が挙げられますが、事前に知っておけば解決できることでもあります。
また、実際にドレーキップ窓を設置した人は、デメリットより上回るメリットを実感している人が多く、「特に夏場の換気がしやすい」、「窓掃除に便利」、「見た目がおしゃれ」、という声が聞かれます。
カーテンやブラインドの設置について
内側に開くドレーキップ窓に、カーテンやブラインドをどの様に付けるか、疑問に思う方もいるでしょう。
北欧インテリアのカーテンは、窓に対して付けるのではなく、壁に合わせて付けるのが基本。
天井からカーテンを吊るせば、内倒しの窓と干渉することなく換気できます。
内開きをする時は、掃除をする場合がほとんどでしょうから、カーテンを開ければ問題ありません。
ブラインドを設置したい場合は、ブラインド内蔵型のドレーキップ窓がおすすめ。
複層ガラスと外側の単層ガラスでブラインドを挟むので、ブラインドが汚れにくい構造になっています。
掃除の手間を省けるのは嬉しいポイントですね。
ガラスが3重構造になることで、断熱性と遮音性がより高まります。
また、室内側からブラインドの開閉や羽根の角度調整も可能です。
ブラインド内蔵型は、直射日光を反射させ、室内側に熱が伝わるのを防いでくれるので、室内にカーテンやブラインドを設置するよりも、遮熱効果が期待できるでしょう。
それと日本では窓枠自体にカーテンレールやブラインドを付ける方も多く、その場合は内倒しや内開きに干渉しない設置も可能です。
まとめ
ドレーキップ窓は機能性も高いですが、おしゃれで個性を出しやすいのもポイントです。
木製のドレーキップ窓なら、色やデザインも自由自在。
木製の窓枠に合わせた格子を付けることもできます。
玄関ドアも木製にして、窓とコーディネートするのも素敵ですね。
外観デザインにもこだわりたい方は、ドレーキップ窓を検討してみてはいかがでしょうか。