古家の解体について。費用相場や解体期間など知っておきたいポイント3点。
マイホームの土地探しの際、「古家付き土地」も選択肢にプラスすれば選択肢の幅がかなり広がり、理想の土地が見つかりやすくなるでしょう。
ただ、気になるのは古家の解体のこと…。
「費用はどのくらい?」「解体の期間は長いの?」と分からないことだらけだと不安がつきまとうものです。
そこで、古家付き土地を購入しようと考えている人に是非知っておいて欲しいポイントを解説します。
解体費用の相場はどのくらいなの?
家の取り壊しは、なかなか頻繁に経験することがないので、費用相場については分かりにくいと感じている人が多いかと思います。
実は、解体費用は取り壊す古家の構造の違いや立地、規模、形状、周辺の環境、土地に接している道路状況、付帯する設備など、さまざまな状況の違いで異なります。
構造の違い
解体費用の相場を知る時には、坪単価で表現されていることが多いですが、家の構造によっても変わります。
・木造→25,000円~55,000円前後
・鉄骨→30,000円~55,000円前後
・RC(鉄筋コンクリート)→30,000円~60,000円前後
おおよその相場としては、上記に上げた範囲が参考になるかと思います。
数値は坪単価なので、解体する古家の坪数をかけたものを目安として考えることができます。
例えば、木造30坪くらいなら、安ければ100万円以内ですが高ければそれ以上掛かることが予想されます。
但し、RCに関しては物件によって平気で500〜1,000万円くらいの解体費用が掛かることもあります。
前回の記事【古家付き土地を購入する際に抑えておきたいポイント。メリットや注意点についてご紹介】でご紹介したような「相続などの関係で早く土地を売りたい」と言う場合以外に、”極端に土地代が安い”と言う場合があれば、そういった莫大な解体費用を見込んでいるケースもある為、建築会社や不動産会社に確認した方が良いでしょう。
古家を解体する地域
解体費用は、古家の立地とも関係しています。
都市部だから高い、地方だから安いとは一概には言えませんが、人件費や廃棄処分費用などが都市部では高いので、最終的な解体費用は一般的には都市部の方が高めの傾向にあります。
周辺との環境、作業のしやすさでも変わる
住宅が密集している地域は、解体の為に周囲を取り囲む養生をしっかり行い、近隣への配慮がかなり必要です。
慎重に取り壊していくことで解体工期が長くなり、トータル費用が高くなります。
また、道路が狭く重機が敷地に入りにくいと、小さなタイプの重機を使ったり、人力で取り壊したりすることもあります。
そんな時には、解体した廃材を撤去する時も手間がかかってしまうでしょう。
このように、住宅環境によっては、解体作業はスムーズといかないことも…。
結果的に、「工期が延びる=人件費が増える」ので、解体費用が高くなることもあります。
解体以外に掛かる費用は?
古家を解体している時には、建物によっては次のような費用が掛かることがあります。
付帯する設備の取り壊し費用
庭にある大きな樹木や石、家の周囲を囲うブロック塀、フェンス、カーポート、物置など、建物以外に付帯するものがあれば、整地のためには撤去しなければなりません。
庭に池があれば、地面に穴が空いている状態なのでそこを土で埋める「埋め戻し」作業も必要となるでしょう。
アスベストが見つかった時の別途費用
築年数の古い古家の場合、建築にアスベストが使われていることがあります。
「石綿」とも言われるアスベストは、粉塵を吸い込み肺に入り込むことで体に重大な健康被害を及ぼします。
外壁、断熱材、屋根、柱、天井、梁など、アスベストが含まれている箇所によって作業方法も異なりますが、法に沿った処理が進められる為、解体費用の他にプラスで数十万円から数百万円の費用が掛かることもあります。
地中に何かが埋まっている時の撤去費用
古い土地の場合、様々な障害物や埋蔵物が地中から発見されることがあります。
古い時代の建築現場では、住居の建て替え時に昔の家屋の瓦や基礎、コンクリートブロック、浄化槽などをそのままにして新たな建物を建築することがありました。
それに、工事で発生する「処分すべき廃棄物」を埋めることで、手間を省いていたような手抜きも珍しいことではなかったのです。
このような地中障害物や埋蔵物が見つかると、その種類に応じて適切に処分されなければならないので、追加でお金が掛かってきます。
但し、地中埋設物などに対しては土地や建物の売主側に”瑕疵担保責任”が生じる為、殆どの場合、買主の負担で対応することは無いと言えます。
※簡単に説明をすると、「家を建てる為に買った土地なのに、後から地中埋設物が見つかり、予定通りに建築ができない。」などの責任の所在は基本的に売主側にあると言うこと。
建築中に地中埋設物が見つかった場合は、速やかに売主に伝え、対応してもらってください。
土地売買の契約書を結ぶ際には、瑕疵担保責任の部分を確認し、不動産業者などへしっかりと確認を取っておきましょう。
解体に掛かる期間は?
解体工事は、依頼してすぐに工事に取り掛かれるわけではありません。
解体を進める前に、まずは自治体に工事の届け出が必要になります。
解体工事着工後は、
・足場の設置
・屋根の撤去
・人力や重機での解体作業
・基礎の撤去
・整地
など、段階的に作業を進めていきます。
進めていく中で問題が起こらなければ、工事前に想定していた期日で終了できるでしょう。
ただ、土地に面している道路が狭い、隣家と密接し過ぎていた、地中に埋まっているものの撤去に時間が掛かった、天気の悪い日が続いたなど、様々な条件が重なって長引いたりすることもあります。
解体工事そのものの期間は2週間から1ヶ月前後くらいが平均的ですが、業者探し、手続き、家の片付け、予期しないトラブルが起こったケースなどを含めて総合的に考えると、1ヶ月~3ヶ月と長くなる可能性も考えられます。
まとめ
解体工事は様々な状況により費用が変動する可能性があります。
おおまかに「○○坪だからこのくらいの費用」とは、単純に言えない部分が大きいのです。
また、建物以外にも撤去が必要なものがあれば、予想よりも高めの解体費用となるケースもありますし、古家の構造や現場の状況によって費用が変わるだけでなく、工事期間の長さも伸びていく場合も。
古家を購入して新築する時には、事前に想定されるケースをできるだけ把握し、不動産屋さんや新築をお願いする業者さんのサポートなどを受けながら、余裕を持って予算やスケジュールを組んでいくと安心です。